ー【全国患者の会】ー

薬害・医療被害をなくすための 厚労省交渉実行委員会
新型コロナワクチン問題
新型コロナワクチン接種による健康被害を受けた当事者として、様々な課題に直面しました。そして、これらの問題は、コロナワクチンに限った問題ではない社会課題であることを知りました。
要するに、今後もし私たちのように薬剤等で健康被害を受けた当事者が発生した場合、同じ経験に苦しめられる恐れがある、ということです。
私たちは、この苦しい経験を後世に残しておきたくない一心で、私たちの経験をもってこれらの課題解決を目指していきます。
第113回交渉
2025年9月19日交渉
交渉:患者の会木村、神谷
患者ゲスト:櫻川さん夫婦(愛知県)
1
救済制度の否認結果に関する情報を公開しない理由を答えよ
厚労省の主張
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「個人情報にあたるため公表は困難」という前回と同じ回答。
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認定者には疾病名等を通知しているが、否認者には疾病名を通知しない場合があるため、
本人に通知していない情報を公表するのは適切でないと説明。 -
「疾病名のみでも、他情報と組み合わせれば特定されうる」として公表に否定的。
交渉側の指摘
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疾病名のみでは個人特定は不可能で個人情報に当たらない。
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認定者の疾病名は公表しているのに、否認者だけ非公表なのは不合理。
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「個人情報と考える理由の根拠」を文書で回答するよう要請。
2
救済制度の「認定」と「一部認定」を区別して公表せよ
厚労省の主張
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昭和52年通知に基づき、一部認定も「広い意味で認定」に含めて公表している。
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一部認定の詳細(認定期間や否認部分)は公表しない方針。
交渉側の指摘
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実際は「急性期数日だけ認定」「慢性症状は否認」というケースが多数。
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これを全て「認定」と扱うのは実態を歪める。
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認定期間の明示、公表区分の見直しを再度要求。
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個人情報には当たらないため非公表の理由にならない。
厚労省の対応
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前項と同じく、「個人特定に繋がりうる」として詳細公表に難色。
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この点も前回同様、文書回答の要望を受領。
3
救済制度結果に対する審査請求における、「通知に記載のない症状」の審査請求可否について
(本項は事前にメールで回答を頂いた。)
案件「救済制度の結果通知に記載されていない症状について、審査請求が出来ない」
(照会内容)
請求内容の症状や傷病(例えばAとBとC)について、審査会での審査過程においてまとめる(AとB´(=BとC))ことがあり、結果として、市町村の支給・不支給決定においてAとB´として通知することがあります。
・AとB´について不支給決定に対する審査請求について、申請者が不支給決定に記載されていないCについて審査請求をしたい申請者がCについて記載されていないことを理由に審査請求をしたいとした場合に、都道府県での受付において、Cに関して記載がされていないことをもって、審査請求を受け付けないといったことはあり得るのか、ご意見をいただきたい。
(総務省回答)
根拠法令の解釈により、B´の不支給決定について、B及びCの不支給決定が行われたと解することができれば、直接的にCに関する記載がなかった場合においても、審査請求を行うことは問題がないと考えます。
4
厚労省研究班と専門家との話し合いを要望したことについて進捗状況を答えよ
厚労省の主張
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「一度認めるとすべての要望に応じる必要があるため困難」
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昨年度で研究班は終了。現在は今年度研究の実施可否も未定。
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研究者の選定も未定の段階。
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当事者・専門家との直接協議は「難しい」。
交渉側の指摘
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大曲班の調査は実態を把握しておらず改善されていない。
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研究継続を検討するなら、当事者の実態を反映させる仕組みが必要。
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専門家によるアドバイザリーボード等を要望。
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意見が研究班に届いていないため、前回の「伝える」は履行されていない。
厚労省の回答
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現時点では研究内容も体制も未定で、明確な回答はできない。
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意見は内部で共有すると回答。
5
医療機関からの副反応疑い報告の義務に関する周知徹底の方法を再検討せよ
厚労省の主張
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R6.8に通知改正し、「遅発性・遷延症状も報告検討」を明記。
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自治体ルート・日本医師会ルートの二重で周知した(7/7通知)。
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9/9自治体説明会でも周知済。
交渉側の指摘
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周知しても医師に届いておらず、患者は報告拒否を受け続けている。
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以前と同じ周知方法では改善しない。
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必要なら記者会見など別の手法を検討すべき。
厚労省
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今後も周知の工夫は検討する姿勢。
6
遅発性の症状に関する医療機関からの副反応疑い報告も義務化せよ
厚労省の主張
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現行制度では「医師が関連性が高いと判断する入院相当重症例」を報告対象。
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全例義務化は難しい。
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因果関係が明確な症状のみ基準に掲載(心筋炎等)。
交渉側の指摘
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医師が「関連性」を認めないため報告が上がらず、実態把握が阻害。
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会員1500名中8割が医療機関に報告を拒否されている。
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医師の判断に依存する限り改善しないため、義務化や代替策が必要。
厚労省
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法令上の改善策は即答困難。次回以降の検討課題として継続。
7
予防接種健康被害救済制度の周知方法を改善せよ
交渉側の要望
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受診証明書のフォーマットに「因果関係の判断不要」を明記すべき。
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ポスター掲示による広報を実施してほしい。
厚労省の回答
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7/7事務連絡で因果関係判断不要は周知済。
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様式改定の予定は直近なし。ただし「検討する」と回答。
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ポスター作成は予算上困難。
8
救済制度申請にかかる費用について実態調査を行い、ガイドライン制定と公への周知をせよ
問題点(交渉側)
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申請に10万円以上かかるケースが多数。
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一部自治体(名古屋市)のみ補填制度あり。他は原則自己負担。
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カルテ開示費用・受診証明書費用が青天井で不当請求が横行。
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権利としての診療情報提供が費用負担で阻害されている。
医事課の回答
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開示費用は「実費+人件費の合理的範囲」という通知はあるが金額統一は困難。
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医療機関ごとに事情が異なるため一律化は難しい。
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実態調査はしていない。
交渉側の指摘
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実態調査がないため適正額の判断もできない状態。
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「通知が守られていない疑い」がある以上、調査と制度見直しが必要。
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厚労省内で医事課と予防接種課が共同検討すべき課題。
厚労省
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本質的回答は出ておらず、「内部共有する」で留まる。
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次回交渉までの検討を要望された。
9
医療安全支援センターが自治体に必要な指導や是正を行えるよう実効性のある権限をもたせよ
交渉側の問題提起
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医療安全支援センターに相談しても「できません」と断られるケースが多数。
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受診拒否・書類拒否・法令違反の可能性があっても実効性ある対応がなされない。
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個別事案の記録や国への報告ルートがなく、問題が蓄積されない。
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権限不足のため患者の救済につながらない。
医政局の説明
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支援センターの権限は「助言」。指導は不可。
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医療法違反の疑いがあれば自治体が立入検査等を行える。
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個別事例が厚労省に上がる仕組みはない。
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国は研修・意見交換の場の提供で支援。
交渉側の主張
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現行制度では実効性が極めて弱く、困っている患者を救えない。
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国レベルで問題を集約し、改善の場を作る仕組みが必要。
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医療安全支援センターの限界を補う制度設計を求める。